ヴァイキング時代の再現者、リエンアクターとは
・1000年前の文化(生活、物作り、戦いなど)を、現代で再現している人達
・日頃から歴史を学び技を鍛えて、活動に真剣に取り組んでいる
・北欧をはじめとするヴァイキングゆかりの国々を中心に推定10000人が活動
・国を越えたコミュニティーとなってヨーロッパ全体に根付いている
11世紀。歴史上のヴァイキング時代は終わりを告げました。しかし、実は北欧をはじめとする、かつてヴァイキングが足跡を残した国々には、今でもヴァイキング達がいます。
リエンアクターと呼ばれる彼らは、ヴァイキング時代の生活を現代で再現している人達です。ヴァイキングの子孫もいれば、そうでなくてもその文化に惹かれて活動している人達もいます。考古学から得られる情報を元に、様々な活動で1000年前の文化を具現化して甦らせるリエンアクターは、まさに現代に生き続けるヴァイキング。彼らの活動によってヴァイキング時代の文化は受け継がれ、現代まで続いています。
リエンアクターの活動は催しなどの一時的なことだけでなく、物作りや戦いの訓練などが個人またはグループで日頃から行われています。彼らに共通しているのは、1000年前の文化を人生に取り入れ、歴史を学び技を鍛えて活動に真剣に取り組む姿勢です。そして皆がヴァイキングとして活動していることに強い誇りを持っています。リエンアクター達の繋がりは、国を越えた大きなコミュニティーとなって現代のヨーロッパに根付いています。
リエンアクターの活動とヴァイキング時代の文化
アイスランドの「みずうみ谷家のサガ」に登場する、博識で思慮深い首領トルステイン。 ヴァイキング時代の文化を語ります。
衣服
リエンアクターは、麻やウールでできたヴァイキング時代の衣服を着て活動します。植物などを鉄鍋で煮出して染められる鮮やかな色彩、複雑に編み込まれる縁飾りや刺繍。物作りのリエンアクターによって当時のスタイルや染色方法が研究され、美しい民族衣装が甦ります。
レザークラフト
太古から人の暮らしと共にある、食肉の副産物である革。革素材は加工しやすく、リエンアクターにとって身近な工芸として親しまれています。ベルトやポーチ、靴や剣の鞘など、多くのリエンアクターが発掘品を元に自分自身で再現し、実用品として身に付けています。
装飾品
植物や動物が絡み合った装飾模様、銀線を編み込んだ繊細な細工。形を残して発掘される装飾品は、当時の芸術を鮮明に教えてくれます。男女問わず装飾品を身に付ける文化は、現代でも変わりません。リエンアクターは当時の姿を忠実に、時に新しい解釈を加えて作り出します。
鍛冶
村では、ふいごで炉を燃やして鉄を叩く、当時の鍛造作業を見ることができます。鍛治を探求するリエンアクターの手による鍋、ナイフ、ペンチなどは、活動に不可欠な実用品です。道具も技術も当時と同じ物を用いたからこそ現れる、独特の重厚感があります。
ヴァイキングファイト
村やマーケットでは、鉄の剣と鎧兜に身を包んだリエンアクター達が技量を競い合う、本物さながらの激しい戦いが行われます。大小様々のグループが各地にあり、武器の扱い方、城塞の攻め方、船の上での戦闘など、彼らは当時の戦術を日々探求し訓練しています。
村
野外博物館を兼ねたリエンアクター活動の場として、ヨーロッパ各地に再現されています。首領の館、漁師の家、鍛冶屋の家など、村の建物の建築にもリエンアクターが協力し携わっています。現代と完全に離れた1000年前の生活そのものを体感でき様々な発見があります。
ヴァイキングマーケット
各地のヴァイキング村で行われる夏の祭典です。ヨーロッパ中から多くのリエンアクター達が集い、再会と出会いを喜び合います。立ち並ぶテントでは、物作りのリエンアクターの手で再現された工芸品や毛皮などが売買され、人々で賑わう交易市場が甦ります。
船
村の岸辺に備えられたヴァイキングのシンボルともいえる船。当時の道具と技術を用いた復元作業が、北欧各地で大々的に取り組まれています。完成した船を使った航海実験は度々行われ、古くは1893年にノルウェーからアメリカ大陸までの大西洋横断が成功しました。
儀式
神話と伝説からは、当時の儀式や慣習を読み解くことができます。北欧のクリスマスとして一般的なユールをはじめ、占いや結婚式までを当時の様式で行うリエンアクターも少なくありません。儀式の内容に共通して現れているのは、祖先と家族と仲間を尊重する心そのものです。